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最近，ある方から連絡が有りました。以前関わりのあったお子さんです。その子は高校受験生となっていました。 　彼は，中学校1年生の頃から数学に全く興味が持てず，授業中も家庭でも数学は敬遠してきました。 その結果，「自分は数学はだめで全く分からないのだ。」という認識が固着してしまっていました。 中学3年生になり高校受験があるので勉強しなくてはいけないが，数学ばかりは手が出ない。 親からも他の教科と比べてどうしてこれがこんなに困難なのかとおこられる。ますますいや気がさして口答えするという悪循環でした。 　このため，次のようないくつかの方法でのアプローチを試みました。 　まず，学校の下校時刻の早めの日を選んで個別指導をすることにして日程を決めました。期待感を持つことが出来るよう，なによりも生徒が誇りを持てるよう話しをしました。 　彼とは4年来という非常に久しぶりであったので，現在の状況をお互いに話し合ったり思い出話をしたりして，親和感を深めました。現在の数学に対する感想とか，どんな様子で数学の時間3年間過ごしてきたのかを聞きました。 すると，悲惨なことに，全くのお客さんの3年間だったそうでした。 　中3というと，家庭学習は4時間が必要と言われます。しかし，数学だけでなく，家庭学習は15分できたらよいくらいの欲求不満耐性が低下していました。 さらに，数学には全く取り組まない3年間のようでした。 　これらのアセスメントを元にして，数学への親和感を回復してもらうために，中学1年生の教科書を使って，マイナスの数や分数のプラスマイナス，角度を求める図形問題等の中学1年生の学習内容のおさらいから始めました。 　入試では90分程度の長時間の気力の持続が必要です。 　まず，モチベーションを持続できるように，沢山の方策を同時進行で試みました。 アナログ時計と終わりの時刻のアナログ時計の図を見せながら，何分間継続して学習できたかを記録しました。 その記録を残しました。教科書の解けた問題には赤いシールを貼っていきました。出来たところがぱっと目に入って満足感を持てます。頻繁に声をかけて連続した思考を維持しました。 書くことに意識を使わずすむように，捨てる紙の裏へ立式や計算を行い用が済んだらすぐに新しい紙面が使えるようにしました。生徒の様子や話を聞いて休憩や運動によって，効果的に気分転換を図りました。 また，TFT思考場療法によって落ち着いて取り組んだり，志望校に受かったらこんなことをしようと気分の高揚感を持たせました。 　このような取り組みを重ねて20時間，2月が過ぎるころ「数学って面白なあ。」と言う言葉が聞こえました。 このように思えるのは君の力があったからだと満足感の効果を高める言葉をかけます。自尊感情が向上してきていることが分かりました。この頃には，90分の学習が維持できるようになっていました。 　彼の言う半年先のイメージは，「高校に入って楽しい高校生活を送っている様子。」ということです。 　受検までしっかり頑張れ！とエールを送ります。